株の分散投資のリスクヘッジ【ポートフォリオの分散の式】

株の分散投資のリスクヘッジ【ポートフォリオの分散の式】

今日は複数銘柄の株へ分散投資した場合のリターンとリスクについて解説します。早速ですが、皆さんは「なぜ複数銘柄の株へ分散投資することでリスクヘッジができるのか」について、正確に説明できますか?感覚で掴むのではなく、まずは原理原則をきちんと押さえておくことは重要です。本記事を読んでマスターしましょう。

 

目次

1.複数銘柄の株へ分散投資した場合のリターン

2.複数銘柄の株へ分散投資した場合のリスク

3.複数銘柄の株へ分散投資した場合の期待リターンとリスク

4.余談

 

気づき村

 

※前回、以下の記事で、単一銘柄の株へ投資した場合のリターンとリスクについて、解説していますので、ご確認後に本記事を読むことをおすすめします。

株のリターンとリスクとは【具体的に計算】

 

株の分散投資のリスクヘッジ【ポートフォリオの分散の式】

1.複数銘柄の株へ分散投資した場合のリターン

まずは、図表①をご覧ください。

ある人が将来のリターンを3パターン(a,b,c)予測したとします。aの世界が実現する確率を『0.3』とし、その際のA株の収益率は『0.5』であったとします。

この場合、パターンaの期待リターンは『0.15』です。

それぞれのパターンの期待リターンを計算し、合計の期待リターンを算出すると『0.39』になります。

 

図表①『A株へ投資した場合のリターン』

複数銘柄の株へ分散投資した場合のリターン

 

今回は、複数銘柄なので、B株についても図表②のような予測を立てたとします。

 

図表②『B株へ投資した場合のリターン』

複数銘柄の株へ分散投資した場合のリターン

 

さて、図表③に移ります。

A株とB株への分散投資を考えた場合に、仮にA株比率を『0.1』とすると、B株比率は『0.9』です(全体で『1.0』)。

 

先ほど算出したA株の期待リターン『0.39』に、A株比率『0.1』を掛け合わせると『0.039』になります。

同じく先ほど算出したB株の期待リターン『0.255』に、B株比率『0.9』を掛け合わせると『0.230』になります。

このようにして、全ての比率分算出します。

 

そして、オレンジ色の『ポートフォリオの期待リターン』は『A株比率×期待リターン』と『B株比率×期待リターン』を足し合わせたものです。

このようにして、それぞれの比率で分散投資した場合を想定し、ポートフォリオの期待リターンを求めることができます。

※今回は『0.1』刻みで計算しましたが、実際はいくらでも細かく計算することができます。

 

図表③『A株とB株へ分散投資した場合のリターン』

複数銘柄の株へ分散投資した場合のリターン

 

2.複数銘柄の株へ分散投資した場合のリスク

複数銘柄の株へ分散投資した場合のリスクを求める際に、まずは分散を算出しなければいけません。

その分散を求めるための式は以下の通りです。

$$分散=(比率_A)^2\times分散_A+(2\times比率_A\times比率_B\times共分散_{AB})+(比率_B)^2×分散_B$$

なぜこの式で、複数銘柄へ投資した場合の分散を算出できるのかについては、細かな式の算出になるため、別の記事で解説しますので、ここでは上記の式で求めると押さえておけば大丈夫です。

式の中の比率は、投資をする人が任意に決める話なので置いておくとして、『A株の分散』と『共分散』、そして『B株の分散』の3つを先に算出しなければいけないことがわかります。

 

図表④と⑤は図表①と②を拡張したものです。

前回の記事と同じ手順で、A株とB株の分散を求めています。

 

図表④『A株へ投資した場合のリスク』

複数銘柄の株へ分散投資した場合のリスク

 

図表⑤『B株へ投資した場合のリスク』

複数銘柄の株へ分散投資した場合のリスク

 

次に、図表⑥のように、A株とB株の共分散を算出します。

 

図表⑥『A株とB株の共分散』

複数銘柄の株へ分散投資した場合のリスク

 

さて『A株の分散』と『B株の分散』、そして『共分散』が求まったので、これらの数値を先ほどの式に当てはめると表⑦のように分散を求めることができます。

ここでは、分散の平方根をとり、標準偏差も算出しています。

この標準偏差が複数銘柄へ分散投資した場合のリスクとなります。

 

図表⑦『A株とB株へ分散投資した場合のリスク』

複数銘柄の株へ分散投資した場合のリスク

 

3.複数銘柄の株へ分散投資した場合の期待リターンとリスク

最後に、『期待リターン』と『リスク』をまとめると、図表⑧と図表⑨のオレンジ色の曲線部分になります。

図表⑨に書き込んでありますが、aとはA株へ『100%』B株へ『0%』投資した場合のポートフォリオを意味します。

 

図表⑧『期待リターンとリスク_表』

複数銘柄の株へ分散投資した場合の期待リターンとリスク

 

図表⑨『期待リターンとリスク_図』

複数銘柄の株へ分散投資した場合の期待リターンとリスク

 

①投資されないポートフォリオ

ファイナンスの学問の世界では、人は「同じ期待リターンならば、リスクが低い方を選ぶ」と考えるため、『h』『i』『j』へ投資はされません。

例えば『i』よりも『g』の方が高い期待リターンを実現できる上に、リスクも低いからです。

②ポートフォリオの期待リターンとリスクの仕組み

期待リターンは、純粋にそれが高い株(今回の例ではA株)の比率を高めると上昇しますが、リスクはそうではありません。

例えば、B株はA株に比べてリスクが低いですが、A株を含めて分散投資した方がリスクが低くなり得ます。

これは、k点とj点を比べればわかることです。

何故このようなことが起きるかというと、期待リターンは「純粋な平均値」であるのに対し、リスクとは「上方と下方の両方を含んだブレ幅であり、それは相殺され得る」からです。

これを『リスクヘッジ』といいます。

 

4.余談

ここからは余談です。

期待リターンは「それぞれの株の期待リターンの加重平均」で算出したのに対し、リスクは別の式で算出しました。

仮に、リスクについても加重平均で算出すると、図表⑩のようになります。

 

図表⑩

余談

※ここではA株比率『0.1』、B株比率『0.9』の場合を例に算出しています。

 

また、一般的に、統計学において、相関係数は以下の式で求めます。

$$相関係数_{AB}=\frac{共分散_{AB}}{標準偏差_A\times標準偏差_B}$$

この式を置き換えると、以下のようになります。

$$共分散_{AB}=相関係数_{AB}\times{標準偏差_A\times標準偏差_B}$$

そして、複数銘柄の株へ分散投資した場合の分散を求める式は以下の通りでした。

$$分散=(比率_A)^2\times分散_A+(2\times比率_A\times比率_B\times共分散_{AB})+(比率_B)^2\times分散_B$$

この式の中の共分散に上記を代入すると以下のようになります。

$$分散=(比率_A)^2\times分散_A+(2\times比率_A\times比率_B\times相関係数_{AB}\times標準偏差_A\times標準偏差_B)+(比率_B)^2\times分散_B$$

ここで、相関係数を仮に『1』とします。

分散を求めてみると以下のようになります。

$$分散=(0.1)^2\times0.0069+(2\times0.1\times0.9\times1\times0.08307\times0.04153)+(0.9)^2\times0.00173$$

$$=0.0456864312$$

この数字は、図表⑩で、リスクを標準偏差の加重平均で求めたものと同じです。

つまり、相関係数が『1』の場合は、標準偏差の加重平均でリスクを求めることができます。

よって、図表⑪のように、全ての比率で標準偏差の加重平均を算出してみます。

 

図表⑪『標準偏差の加重平均』

余談

 

ここで、期待リターンと上記で求めた標準偏差をまとめると、図表⑫と図表⑬の青色の曲線部分になります。

このように、相関係数が『1』を上限として、下がれば下がるほど、より曲線が左側に凸となります。

いいかえれば、相関係数が高くなればなるほど、リスクヘッジの度合いは低くなります。

 

図表⑫『期待リターンとリスク』

余談

 

図表⑬『期待リターンとリスク_図』

余談

 

いかがでしたでしょうか。

2回にわたって、リターンとリスク、そしてリスクヘッジについて解説してきました。

分散投資をすることで、期待リターンは下がってしまいますが、リスクを低減させることができます。

この仕組みを覚えておきましょう。

 

『本日の気づき』

・ポートフォリオの期待リターンは、それぞれの株の期待リターンの加重平均で算出する

・ポートフォリオのリスクは、相関係数が『1』の場合を除き、特殊な式で算出する

・ポートフォリオの期待リターンは、純粋にそれが高い株の比率を高めると高まるが、ポートフォリオのリスクは、それが高い株の比率を高めることで低減され得る

 

気づき村


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です