実質賃金の推移について【なぜ低下するのか】

実質賃金の推移について【なぜ低下するのか】

今日は、実質賃金の推移を分析する際の注意点を解説します。皆さんは、実質賃金の推移が低下傾向にある場合、どのように感じますか?一般的にはよくないことだと判断しませんか?実は必ずしもそうとは限りません。この記事では、実質賃金が低下する要因を複数挙げることで、要因別に良し悪しを判断します。

 

目次

1.実質賃金の式

2.なぜ実質賃金の推移が低下するのか

 

気づき村

実質賃金の推移について【なぜ低下するのか】

1.実質賃金の式

まず、前提の確認ですが、実質賃金は以下の式で表されます。

$$実質賃金=\frac{名目賃金}{消費者物価指数}$$

名目賃金は、現金給与総額の平均値であり、消費者物価指数はあらゆる財・サービスの物価の平均値です。

そして、実質賃金は手持ちの現金給与総額で、財・サービスを平均で何個購入できるかを表しています。

 

2.なぜ実質賃金の推移が低下するのか

ここからが本題ですが、実質賃金は、先ほどの式で何がどのように変化すると低下するでしょうか。

答えは簡単で、右辺の①名目賃金が低下する、②消費者物価指数が上昇するのどちらかですね。

ちなみに、日本の実質賃金と名目賃金、消費者物価指数の推移は以下の通りです。

先程の式に通りの動きをしていることが確認できます。

 

なぜ実質賃金の推移が低下するのか

※実質賃金と名目賃金:『e-stat 政府統計の総合窓口 毎月勤労統計調査』より

※消費者物価指数:『e-stat 政府統計の総合窓口 消費者物価指数』より

さて、ここからが本記事で一番重要な部分です。

今日は、①名目賃金が低下するに焦点をあてて解説します。

名目賃金は現金支給総額の平均値ですが、ポイントは『平均値』ということです。

 

以下の表を見てみましょう。

この表では、名目賃金の平均値は2019年は500万円で、2020年は450万円なので、低下傾向にあります。

なので、消費者物価指数が仮に同じなら実質賃金は低下し、一般的にはよくないことだと判断されます。

しかし、よく見てみると、A氏、B氏、C氏とも賃金は下がっておらず、2020年に新たに働きだしたD氏の賃金が低いことによって、2019年から2020年にかけて名目賃金が低下していることがわかります。

 

なぜ実質賃金の推移が低下するのか

 

これを今の日本に当てはめてみましょう。

日本は近年少子高齢化によって、生産年齢人口が減少しています。

政府はそれに対する対策として、女性の社会進出や高齢者の雇用、外国人労働者の受入でカバーしようとしています。

実際に日本の状況を確認すると確かにそれぞれの労働力人口が増加しています。

 

なぜ実質賃金の推移が低下するのか

※女性の労働力人口:『厚生労働省 平成29年版 働く女性の実情』より

※高齢就業者:『総務省統計局 労働力調査(基本集計) 』より

※外国人労働者:『厚生労働省 外国人雇用状況報告、外国人雇用状況の届出状況』より

 

さて、これらの女性や高齢者、そして外国人労働者の名目賃金は果たして高いでしょうか。

今の日本で言えば、一般的には低いと考えられますね。

先程の表でいうと、まさにD氏のことです。

言い換えると、今まで働いていた人の賃金は変わらず、今まで働いていなかった人、つまり、賃金が0円であった人が働くようになった場合、名目賃金の推移が低下することがあります。

このことは、経済全体で見た場合、悪いこととは必ずしも言えないため、名目賃金が低下に対して、その要因をきちんと分析することがいかに重要かがわかります。

 

いかがでしたでしょうか。

今日は、実質賃金が低下する要因について、解説しました。

データは結果であり、その結果に至る要因を突き止めることで、初めて結果に対する評価ができることを覚えておきましょう。

 

『本日の気づき』

・実質賃金の低下は、名目賃金の低下と消費者物価指数の上昇によって起きる

・名目賃金の低下は、新たな働き手の増加によっても生じるため、一概に悪いこととは断定できず、それらの影響を除いた名目賃金の推移を確認することが重要である

 

気づき村


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