修正ハフモデルの吸引率・魅力度と利点・欠点

修正ハフモデルの吸引率・魅力度と利点・欠点

今日は、商圏モデルの1つである『修正ハフモデル』について取り挙げます。『修正ハフモデル』の『吸引率』や『魅力度』といった概要から応用・データ収集方法、利点・欠点まで徹底的に解説していきます。複雑な式を丸覚えして、機械的に吸引率を算出していませんか?この記事を読んで、モデルの特徴をきちんと押さえ、より高度な分析ができるようになりましょう。

 

目次

1.修正ハフモデルの式

2.修正ハフモデルの応用と必要なデータの収集方法

3.修正ハフモデルの利点と欠点

 

気づき村

この記事では『修正ハフモデル』で求めた『吸引率』を地図上に視覚化する方法については解説していません。

視覚化については、以下で解説していますので、そちらを知りたい方は以下をご確認下さい。

jSTAT MAP応用編【修正ハフモデルで商圏分析】

 

又、視覚化した場合、どのような図になるのかは以下のサイトにありましたので、参考にご覧ください。

『株式会社パスコ:https://www.pasco.co.jp/recommend/word/word036/

 

修正ハフモデルの吸引率・魅力度と利点・欠点

1.修正ハフモデルの式

早速ですが『修正ハフモデル』とは以下の式のことです。

まずは、この式について、順を追って解説していきます。

$$吸引率=\frac{\frac{A店の魅力度}{居住地とA店間の距離^λ}}{\frac{A店の魅力度}{居住地とA店間の距離^λ}+…+\frac{N店の魅力度}{居住地とN店間の距離^λ}}$$

※A店が自店のことです。分母の項数は店舗の数となります。

①吸引率

『修正ハフモデル』は「ある場所(居住地)に住む人が買い物に行こうとする時、自店と競合店の中から、自店に来る確率を求めるためのモデル」で、この確率のことを『吸引率』と呼びます。

②魅力度

『魅力度』とは一般的に『売場面積』のことです。

例えば、上記の式では、A店の『売場面積』が広ければ広い程、A店の『吸引率』は高く算出されます。

「広いお店の方がよくお客さんが来る」という極めて単純な考え方ですが、間違っているとはいえないでしょう。

後で説明しますが、応用として『売場面積』以外を用いることもできます。

 

ここまでをまとめると『修正ハフモデル』の『吸引率』は『魅力度』が高ければ高いほど、又『居住地と店間の距離』が近ければ近いほど、高く算出されるということです。

③λ:ラムダ【距離抵抗係数】

『λ』は『ラムダ』と読み、「お客さんが遠くへ買い物に行くことを嫌がる度合い」を意味する『距離抵抗係数』のことです。

遠くに行くことを強く嫌う場合、距離抵抗係数を大きく設定することになります。

 

以下のグラフをご覧ください。

例えば『λ』を高く設定すると『居住地とA店間の距離』を大きな数でべき乗するため、距離が離れるにつれて、吸引率が大きく低下していくことになります。

反対に『λ』を小さく設定した場合、距離を遠くしていっても、吸引率の低下への影響は比較的小さくなるように算出されます。

λ:ラムダ【距離抵抗係数】

 

『λ』は、大規模小売店舗の場合は一般的に『2』を用います。

『販売士ハンドブック(発展編)④マーケティング』には、以下の記述があります。

【最寄品】:購買頻度が高く、買い物費用をかけたくない商品である。・・・最も購買距離が短く、便利な場所で購入しようとする

【買回品】:買い物に出かけるときは、どの商品を購入するかを決定しておらず、消費者が豊富な品揃えを見て歩いているうちに商品についての情報を獲得し、比較検討したうえで購入しようとする商品である。・・・買回品の場合、遠方まで買い物のコストをかけて行くことを厭わない

【専門品】:消費者があるブランド、ある小売店の販売する商品に特別の、ほかの商品では代替できない愛顧を持っている商品である。そのため、それを購入しようとする消費者は、かなりの購買努力を払うことを厭わない商品である。したがって、専門品を販売する小売店には、来店客数は多くなくともかなり遠方からの顧客が来店することになり、・・・

 

このことから『λ』は一般的に、『最寄品』を取り扱うお店は最も大きく、『買回品』を取り扱うお店はその次に高く設定することになります。

『専門品』を扱うお店は、小さめに設定しましょう。

 

この他にも、様々なお店が集まっている商業集積などに立地するお店は『距離抵抗係数』を小さめに設定してもいいかも知れません。

何故なら、そのお店にいけば、ついでに様々なお店にいけるため「例え遠くても買い物に行こう」と感じるかも知れないからです。

残念ながら絶対的な正解はありませんので、色んな要因を加味して設定しましょう。

 

2.修正ハフモデルの応用と必要なデータの収集方法

修正ハフモデルの応用と必要なデータの収集方法

 

①修正ハフモデルの応用

先程『魅力度』は『売場面積』以外を用いることも可能といいました。

小さなお店でも、大人気ということはありますので、距離を除けば『売場面積』だけで『吸引率』が決まるというのは浅はかな気がしてしまいます。

そこで、以下のような指標を点数化し、魅力度に代入することもできます。

【価格】:安いお店は点数を高くする

【ブランド】:『ブランド力』や『知名度』があるお店の点数を高くする

【品揃え】:より多くの商品を置いているお店の点数を高くする。『幅』と『深さ』に分けてみてもよい

【味】:食べ物屋さんであれば『美味しい』お店の点数を高くする

【接客】:『親しみやすい』店員さんがいるお店の点数を高くする

【ぐるなびの点数】:高いほど、点数を高くする。お客さんの評価なので、魅力度としては極めていい指標となり得るが、母数が足りないケースが多いので注意

 

ここで重要なのは、何か1つの要素で『吸引率』が決まるはずがないということです。

そこで、上記の指標の点数を全て合計し、その合計点を魅力度に代入するのは有用な手段です。

もともとの『修正ハフモデル』の式を丸暗記し、そのまま使うのではなく、現実に即した形にカスタマイズしてしまえばよいのです。

指標は他にもたくさん考えられますので、自分の属している業態には、これが重要だと思われるものを考えて『魅力度』に代入しましょう。

最も望ましいのは「どのような要因でお店を選ぶか」アンケートでお客さん自身に確認することかも知れません。

必要なデータの収集方法

自店についての魅力度は勿論わかると思います。

他店のものは実際に足を運んで調査するのがいいでしょう。

 

『居住地と店間の距離』については『GIS』を利用するなど、工夫しましょう。

 

3.修正ハフモデルの利点と欠点

①利点

修正ハフモデルは各店の『魅力度』や『居住地と店間の距離』から「このような商圏を形成しているはず」という『予測』をするモデルです。

例えば、新規出店の際に「どのような商圏が形成されるか」分析する時、有効に機能します。

この特徴を必ず押さえておきましょう。

②欠点

反対に『予測』した商圏から、実際に来店してくれているという証拠は『修正ハフモデル』ではどこにも登場しません。

そのため、実際の来店者の分布という『結果』を知りたいのであれば、別の記事で紹介している『商圏強度法』などを用いることが望ましいです。

言い換えれば、『修正ハフモデル』は既存店の分析には適していません。

 

又、このモデルを使う時は、地形情報がおざなりになってしまうということに注意が必要です。

例えば『線路』や『河』など、来店するはずの人の道を遮断する要因がある場合、「『魅力度』を除けば『距離』だけで来店する確率が決まる」というセオリーが崩れてしまいます。

欠点 欠点

 

そのため、そのような遮断要因の向こう側に存在するエリアは、例え『吸引率』が高く算出されても、実際に出店した際は殆ど来店してくれないと思った方がいいです。

 

この他にも、記事の途中で、専門品を取り扱う店は『λ』を低く設定した方がよいと述べましたが、実際問題、専門品を取り扱うお店に『修正ハフモデル』がなじまない部分もあるかと思います。

かなり遠方からくることが見込まれるお店に、周辺の商圏を分析すること自体にどのような意味があるのかが疑問だからです。

 

いかがでしたでしょうか。

『修正ハフモデル』も突き詰めると奥が深いです。

自店の特徴にあった使い方をしていきましょう。

 

記事の途中でご紹介しました『商圏強度法』については、以下で解説しています。

商圏強度法の式・データ収集や利点・欠点【商圏モデル解説】

 

『本日の気づき』

・『修正ハフモデル』は、ある場所(居住地)に住む人が買い物に行こうとする時、自店と競合店の中から、自店に来る確率を求めるためのモデルで、この確率のことを『吸引率』という

・『吸引率』は『魅力度』が高ければ高いほど、又『居住地と店間の距離』が近ければ近いほど、高く算出される

・『魅力度』は『売場面積』を用いるのが一般的だが、他の指標を使うことでより現実に即した分析が可能となる

・『λ』は自店が取り扱う商品や商業集積度合など、様々な要因を考慮して設定する

・『修正ハフモデル』は各店の『魅力度』や『居住地と店間の距離』から「このような商圏を形成しているはず」という『予測』をするためのモデルなので、既存店の分析には適していない

・『修正ハフモデル』は『線路』や『河』などの地形情報が欠落しているため、その点に注意して分析を行わなければならない

・専門品を扱う場合、『修正ハフモデル』を使うことが望ましいかは、事前に十分検討しなければならない。

 

 

気づき村


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